大阪南の河の辺りの
ぶらり入った飲屋の女は
手持ち無沙汰の人待ち顔で
一人グラスを傾けていた
酔いにまかせて女が言うには
外は雨だしお客も来ないし
なんや あんたに優しくしたいわ
よけりゃ二階で遊んでゆかないかと
椅子にもたれて片ひじついて
身の上話は九州訛りで
あんたは最初の男に似てるわ
うそかほんとか悪い気もせず
今夜は悪いがきっと又来ると
心残りで勘定すませりゃ
首にすがってかぼそい声で
ほんとにあんたが好きだと泣くよ
三日とおかずに二枚目気取りで
店の女を訪ねてみたら
あの娘は二階で今忙しいと
太ったおかみが片目をつぶる
ほと
大阪南の河の辺りの
ぶらり入った飲屋の女は
客はみんな最初の男で
よけりゃ二階で遊んでゆけという